女性の薄毛(FAGA)

光が当たっている木の枝脱毛症

近年よく聞かれるようになった「FAGA」とは、女性男性型脱毛症「Female Androgenetic Alopecia」の略で、AGA「Androgenetic Alopecia(男性型脱毛症)」の先頭に「Female」をくっつけただけの造語です。

もはや女性なのか男性なのかはっきりしない病名ですね。
「女性の、男性ホルモン由来による脱毛症」のことです。

美容皮膚科や美容外科などでは「ヘアロス」と呼ばれることもあります。
この呼び方の方が自然な印象を受けます。
ここでは、女性の薄毛「FAGA」について、詳しく解説します。

薄毛の原因

FAGAによる薄毛の原因は主に、加齢などで女性ホルモンである「エストロゲン」が低下することで起こります。
エストロゲンの分泌は、加齢のほかに、自律神経が乱れることなどでも起こります。

女性であっても男性ホルモンの「テストステロン」は生産されます。
しかし通常は、女性ホルモンの「エストロゲン」が、テストステロンを抑え込む働きをしています。
ところが、何らかの原因でエストロゲンが減少すると、テストステロンを抑えておくことができなくなり、薄毛が発症します。

エストロゲン分泌の低下は、主に加齢や閉経によって起こります。
また、自律神経の乱れによっても起こります。
自律神経は、過度なストレスを受けたときや、生活習慣などによって乱れることがあります。

自律神経とは、自分の意識や状態とは関係なく24時間休みなく働き続ける、生きるためには絶対に欠かせない神経です。
この働きのおかげで、たとえ睡眠中であっても心拍や呼吸をし続けることができているのです。
自律神経の司令塔となっているのは、脳の視床下部という部分です。
視床下部は、エストロゲン分泌の司令塔でもあります。

この視床下部は、ストレスや生活習慣の影響を受けやすく、自律神経の働きに影響を与えることでホルモンバランスが崩れたり、逆にホルモンバランスが崩れることで自律神経の働きに影響を与えたりと、密接にかかわっています。

近年20代からの若年層に更年期障害が増えているのも、このことが原因だと言われています。
エストロゲン分泌のバランスが崩れることは、薄毛にも移行します。

FAGAの症状の特徴は、特定の部分から一気に脱毛が加速する男性のAGAとは異なり、髪の毛全体が細くなりボリュームダウンすることです。

薄毛の対処法

FAGAは、エストロゲンを作るために必要な栄養が不足することで進行しますので、エストロゲンを作るために必要な栄養素を補う必要があります。
また、髪の毛の原料となる栄養が不足することもFAGA進行につながります。
そのため、ダイエットなどで過度な食事制限をしていると、薄毛の進行に拍車をかけることがあります。

油分の摂りすぎにも気を付ける必要があります。
油分は頭皮の皮脂分泌を活発にするため、摂りすぎは頭皮が炎症を起こしたり、毛穴が詰まって頭皮の環境が悪くなることで薄毛を促進します。

喫煙も薄毛によくない結果を生むことがあります。
喫煙は血行不良を引き起こし、頭皮の血流も妨げます。
また、喫煙はビタミンを破壊するため、これが栄養不足につながり、薄毛の原因となるのです。

薄毛に必要な栄養は

  • たんぱく質
  • ミネラル
  • ビタミン

です。
髪の毛を構成する成分はほとんどがケラチンで、このケラチンはたんぱく質から合成されます。

たんぱく質を補うための食材としては、肉、魚、卵、大豆製品、牛乳、乳製品、牡蠣などが代表的です。
髪によいとされているミネラルは「ヨード」で、これは昆布やワカメ、ひじきなどの海藻類に多く含まれている栄養素です。

摂取した方がよいビタミンとして挙げられるのは、頭皮の新陳代謝をよくするためのビタミンB、血行を良くし抜け毛を防ぐビタミンEやA、コラーゲン合成に必要なビタミンCやFなどです。
コラーゲン合成は健康な血管を作り出し、血流を良くするために必要です。
また、コラーゲンはツヤやハリのある髪の毛を作り出すことにも有効です。

それぞれの栄養素を多く含む食材をまとめて以下に挙げておきます。

  • たんぱく質:肉、魚、卵、大豆製品、牛乳、乳製品、牡蠣など
  • ミネラル(ヨード):昆布、ワカメ、ひじきなどの海藻類
  • ビタミンB:豚肉の赤身、レバー、まぐろなど
  • ビタミンEやA:にんじん、かぼちゃ、小松菜、ほうれん草、玄米、胚芽米、ごま、ナッツなど
  • ビタミンCやF:レモン、オレンジ、金柑、さくらんぼ、いちごなど
  • コラーゲン:長いも、れんこん、納豆など

これらの食材を見てもお分かりいただけるとおり、髪の毛の健康のためには、バランスの良い食事が大切なのです。

頭皮ケア

頭皮の健康を保つためには、毎日のシャンプーの仕方も大切です。
頭皮のべたつきは毛穴の詰まりに影響し、抜け毛を増やして薄毛進行につなげてしまいます。

頭皮がベタつくのは、洗い方にも問題がある可能性があります。

  • シャンプーをつけすぎている
  • 洗い残しがある

このようなことが原因で頭皮の健康が損なわれることがあります。

頭皮を健康に保つためのシャンプーの仕方をご紹介します。

【シャンプーの仕方】

1.ブラッシングをする

シャンプーをする前に髪をブラッシングすることで、頭皮の汚れを浮かせて落ちやすくします。
また、髪の毛に付着している汚れも軽く落ちるようになり、髪の絡まりをほどくことでシャンプーの時に抜け毛を減らすことができます。
そして、頭皮の皮脂を髪の毛につけることで、シャンプーの際の摩擦から髪の毛を保護してくれます。

2.お湯で流す

シャンプー前に髪を充分にお湯で流します。
この時、髪の毛だけを濡らすのではなく、頭皮と髪の毛を洗うように意識して流します。
シャンプーを着けずにもみ荒いするような感覚です。
ここでしっかり洗うと頭皮の汚れをほぼ落とすことができ、シャンプーの泡立ちが良くなるので、使うシャンプー量を減らすことができます。

3.シャンプーを良く泡立てる

シャンプーを原液のまま頭皮につけることをせず、一旦、濡れた手のひらで泡立てます。
シャンプーの適量は、ロングヘアで500円玉大くらいです。
しっかり泡立ててから頭皮につけることで、洗い残しを防ぐことができ、シャンプーによる刺激を和らげることができます。

4.頭皮をもむように洗う

洗う際には、頭皮をマッサージするようにもみ洗いします。
指の腹を使って、力を入れずにゆっくりと揉むように洗います。
毛穴の汚れが浮きやすくなるばかりでなく、頭皮に適度な刺激を与え、血行をよくすることにつながります。

5.よくすすぐ

シャンプーを頭皮に残さないようにしっかりとすすぎます。
すすぎ時間の目安は、シャンプーした時間の2~3倍くらいの時間です。
すすぎの工程が最も重要だと言っても過言ではないかもしれません。
シャンプー残りがないか確認をしつつお湯を流します。

【リンスやトリートメント】

この後、リンスやトリートメントをする場合は、頭皮につけずに髪の毛の毛先から中間ほどに重点的につけます。
頭皮にリンスやトリートメントをつけてしまうと、これが毛穴詰まりの原因になってしまうからです。
髪の毛の根元の方は、まだ生えてきたばかりの髪の毛で傷みは少ないです。
手に残った分を軽くつけるだけで充分です。

リンスやトリートメントもシャンプーの時と同様にしっかりすすぎます。
特に、首や耳の後ろはすすぎが不足しがちです。
ぬるっとした感触がなくなるまですすぎましょう。

【薄毛予防に効果的なツボ】

シャンプーの際、頭皮マッサージのついでに刺激すると効果的なツボについてご紹介します。

百会

両耳の上端に親指を置き、頭頂部に向けてまっすぐに上がった線と、眉間の中心から頭頂部に向けてまっすぐに上がった線が交差する地点です。
百会は体全体のさまざまな経路に効果的なツボです。
頭に関する症状に加え、耳鳴りやめまい、鼻づまり、不眠や高血圧、胃腸の症状や痔核などにも効果があるとされています。

通天

百会から左右の両側に少しずれたところ。
頭皮の血行を良くして抜け毛の進行を遅らせます。
マッサージする際は、両耳の上端に親指を置き、他の4本の指を百会から下に移動させるようなイメージでマッサージすると効果的です。

天柱

襟足の生え際にある太い筋肉の外側にあるくぼみ。
頭の重要なツボで、ここを刺激すると頭部の血行もよくなります。
次にご紹介する「風池」と併せて刺激すると、特に後頭部の抜け毛の緩和になります。

風池

天柱のすぐ外側から1センチほど上に上がったところ。
円形脱毛症や風邪にも効果があるとされているツボです。

主に頭部のツボについてご紹介しました。
ちなみに、ツボは特に鍼灸院などで刺激してもらうだけでなく、自分のツボを自分で刺激しながら頭皮マッサージすることも薄毛には有効であることがわかっています。

日本医科大学形成外科・ヘアメディカルグループ」からは、頭皮マッサージ法の動画も発表されていますので、ぜひ参考にしてみるといいでしょう。

薄毛治療薬で治す

栄養の摂取やシャンプー法の改善、頭皮マッサージでなかなか結果が出ないといった方には、薄毛の治療薬を使うというのはいかがでしょうか。

この世代は、子育てや家庭、仕事にも忙しい女性ばかりです。
自分のケアになかなか時間を取れないときは、医薬品の力を借りるという選択肢もありますよ。
薄毛に効く治療薬についてご紹介していきます。

パントガール

パントガールは、FAGAに悩む女性専用の内服薬(医薬品)です。
有効成分はパントテン酸カルシウムやL-シスチンを配合しており、薄毛や抜け毛を改善して発毛を促してくれます
特に、中高年女性によく見られるびまん性脱毛症に効果があります。

世界で初めてFAGAへの効果と安全性が認められた薄毛治療薬です。
全世界で有名な育毛剤ですが、日本国内では美容クリニックなどで処方されることでしか入手方法がないため、非常に高価で継続することが困難だと指摘されているものです。

海外通販を通せば、お得に購入することが可能です。
詳しくはパントガールのページをご覧ください。

プリオリン

プリオリンは、バイエル社が製造販売している育毛サプリメントです。
有効成分はパントテン酸やL-シスチンで、重要な栄養素を毛根に与えることで、頭髪の健康な成長を促します。
プリオリンは、血液の循環を向上させ、毛包に働きかけます。

海外通販を通せば、お得に購入することが可能です。
詳しくはプリオリンのページをご覧ください。

ロゲイン

ロゲインは男性用が有名ですが、女性用もあります。
世界的に有名な男性用のロゲインと同一成分のミノキシジルを配合しており、頭皮に塗布するタイプの外用薬です。

ミノキシジルは血管拡張作用があり、頭皮の毛細血管を広げて血流を促進します。
血流を促進させると、頭皮に酸素や栄養がいきわたりやすくなり、このことが高い発毛効果を生みます。

海外通販を通せば、お得に購入することが可能です。
詳しくはロゲインのページをご覧ください。

薄毛治療薬まとめ

近年、女性の社会進出が活発になり、男性だけでなく女性も薄毛に悩む方が増えました。
そのため、男性のAGAだけではなく、女性の薄毛対策にもさまざまな治療薬が開発されています。

女性の薄毛はさまざまな要因が絡み合って引き金となることが多いので、薬の内服は注意が必要になりますが、ここでは安全性が高いと評価を受けているものだけをご紹介しました。
この記事が、薄毛治療の一助になればと思います。

まとめ

FAGAが発症する原因にストレスも関係するため、薄毛に気づいたらひとりで悩まずに早い段階で対策に踏み出すことが大切です。
発症の時期は中高年だけとは限りません。
まだ早いとお思いの方でも、発症する可能性はあるのです。

規則正しい生活と、バランスの良い食事、そしてストレスの解消がカギです。
それでも改善しない場合は、治療薬にも頼ってみてください。
一日も早い改善につながるきっかけづくりに役立ちます。